昭和40年に建設省(国土交通省)より財団法人として認可

受験講習会

建築 1級(学科)

問1
鉄筋およびコンクリートの特性と劣化に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 鉄筋コンクリートの構造材が中性化すると、鉄筋の防錆効果が失われるがコンクリートの強度の低下はない。
  2. AE剤を用いたコンクリートは、用いないコンクリートよりも中性化が遅くなる。
  3. 海砂を用いた鉄筋コンクリート構造では、塩素イオンが鉄筋の不働態皮膜を破壊することがある。
  4. コンクリート部材の乾燥収縮を小さくするには、粗骨材の寸法を小さくし、かつ細骨材の粗粒率も小さくする。
正解 4
解説
  1. コンクリートの中性化とは、コンクリート中の水酸化カルシウムCa(OH)2が、空気中の炭酸ガスCO2によって、炭酸カルシウム(CaCO3)となる劣化現象である。中性化するとコンクリート中の鉄筋の防錆効果が失われ鉄筋コンクリートの劣化となる。コンクリートの中性化によるコンクリートの強度の低下はない。試験はフェノールフタレインのアルコール溶液を用いて着色反応で調べる。
  2. AE剤を用いたコンクリートは、これを使用しないコンクリートよりも中性化は進行しにくい。また、表面が乾燥しているコンクリートの方が中性化が早く、水セメント比の大きいコンクリートも中性化が早くなる。
  3. 細骨材中の塩化物(海砂で洗浄の良好でないもの)でコンクリート中の鋼材は、コンクリートがpH10以上の場合は、鋼の表面が鉄の水酸化物Fe(OH)2の不働態被膜で覆われているので錆の発生はない。水洗いの不十分な海砂を用いると、塩素イオンが鉄筋の不働態被膜を破壊し錆びやすくなる。(塩化物量試験により確認をする。)
  4. コンクリートは、主にセメントペーストの収縮のため乾燥収縮する。乾燥収縮がコンクリートの変形性能を超えると、ひび割れが発生する。
    乾燥収縮を小さくする方法として、
    1. 粗骨材の最大寸法を大きくする。
    2. 細骨材の粗粒率を大きくする。
    3. 単位水量を小さくする。
    4. 高性能AE減水剤を用いる。
    5. 硬練り。
    等の方法がある。
テキスト参照
当研究所発行の「建築施工管理技術テキスト」
  • 建築施工管理技術 p358
  • 建築施工管理技術 p359(参考)
  • 建築施工管理技術 p147
  • 建築施工管理技術 p144,151
関連過去問題
  • 平成11年度午前の部 問題No.29

問2
アルカリ骨材反応抑制対策に関する次の記述のうち適当なものはどれか。

  1. 床コンクリート直均し仕上げのコンクリートは、軟練りとした方がよい。
  2. 床コンクリート直均し仕上げの木ごてずりは、コンクリート面を指で押しても少ししか入らない程度になったときに行う。
  3. 石こう系セルフレベルング材の床仕上げは、ひび割れや浮きが生じにくい。
  4. 石こう系セルフレベリング材に接する金属で腐食するおそれのある箇所は防錆処理が必要である。
正解 1
解説
  1. 床コンクリート直均し仕上げに用いるコンクリートは、できるかぎり硬練りのものを使用する。水セメント比の大きい軟練りのコンクリートを用いると、一般に耐摩耗性が小さくなる。
  2. 床コンクリートの直均し仕上げの木ごてずりは、コンクリートの固まり程度が、一般にコンクリート面が指で押しても少ししか入らない程度になった時期に行う。
  3. 石こう系セルフレベリング材の床仕上げは、材料の収縮性がないので、ひび割れや浮きを発生することがない。
  4. 石こう系セルフレベリング材に接する金属で腐食するおそれのある箇所は、モルタルまたはエポキシパテ等で防錆処理する。
テキスト参照
当研究所発行の「建築施工管理技術テキスト」
  • 建築施工管理技術テキスト p516
  • 建築施工管理技術テキスト p517
  • 建築施工管理技術テキスト p517
  • 建築施工管理技術テキスト p518
関連過去問題
  • 平成14年度午前の部 問題No.15
  • 平成10年度午前の部 問題No.15
  • 平成8年度午前の部 問題No.39
  • 平成6年度午前の部 問題No.34

問3
JISに規定する品質管理用語に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

  1. 品質認証制度とは、規格又は仕様に適合している品物を供給できることを、中立的な機関が証明する制度である。
  2. 作業標準とは、作業条件、作業方法、管理方法、使用材料、使用設備その他の注意事項などに関する基準を定めたものである。
  3. 品質保証活動とは、消費者の要求する品質が十分に満たされていることを、第三者が証明することである。
  4. 製造品質とは、設計品質をねらって製造した製品の実際の品質である。
正解 3
解説
  1. 品質認証制度とは、生産者が規格又は仕様に適合している品質を持つ品物又はサービスを供給できることを、中立的な機関が証明する制度でJISやJASマーク表示制度などが代表的な制度である。
  2. 作業標準とは、品質標準を実現するために、作業条件、作業方法、管理方法、使用材料、使用設備その他の注意事項等に関する基準を定めたものである。
  3. 品質保証活動とは、消費者の要求する品質が十分に満たされていることを保証するために、生産者が行う体系的活動をいう。
  4. 製造品質とは、設計品質をねらって実際に作り込んだ品質である。出来栄えの品質、適合の品質ともいう。
テキスト参照
当研究所発行の「建築施工管理技術テキスト」
  • 建築 p769
  • 建築 p769
  • 建築 p768
  • 建築 p740,768
関連過去問題
  • 平成13年度午後の部 問題No.19
  • 平成12年度午後の部 問題No.19
  • 平成10年度午後の部 問題No.15

問4
労働基準監督署長に届け出る工事の計画に関する次の記述のうち、「労働安全衛生法」上、誤っているものはどれか。

  1. 高さが31mを超える建築物又は工作物の建設、改造、解体又は破壊の仕事は工事開始14日前までに届け出なければならない。
  2. 型わく支保工で支柱の高さが3.5m以上のものは、その仕事の開始30日前までに届け出なければならない。
  3. わく組足場で高さが10m以上の構造のものは、その仕事の開始14日前までに届け出なければならない。
  4. 掘削の高さ又は深さが10m以上である地山の掘削の作業を行う仕事は、14日前までに届け出なければならない。
正解 3
解説

1~4. 一般に、品質特性を決める場合には、主に次の点に留意する必要がある。

  1. 建築工事において、次の仕事を開始しようとする事業者は、その仕事の開始の日の14日前までに労働基準監督署長にその仕事の計画を届け出なければならないこととなっている。
    (安衛法第88条第4項、安衛則第90条)
    1. 高さ31mをこえる建築物又は工作物の建設、改造又は破壊の仕事
    2. 掘削の高さ又は深さが10m以上となる地山の掘削の作業(掘削機械を用いる作業で、掘削面の下方に労働者が立入らないものを除く)を行う仕事
    3. 圧気工法による作業を行う仕事
  2. 型わく支保工、足場、ボイラー等の機械などを設置し、もしくは移転し、又はこれらの主用構造部分を変更しようとする事業者は、所定の書類と図面を添えて、30日前までにその工事の計画を労働基準監督署長に届け出なければならない。
    (安衛法第88条第2項、安衛則第86条、安衛則第88条、別表第7)
    1. 型わく支保工(支柱の高さが3.5m以上のものに限る)
    2. 架設通路(高さおよび長さがそれぞれ10m以上のものに限る)
    3. 足場(つり足場、張出し足場以外の足場にあっては、高さが10m以上の構造のものに限る。)
    4. ボイラー、クレーン等、ゴンドラなど

従って、3.は30日前に届け出が必要であり誤りである。

テキスト参照
当研究所発行の「建築施工管理技術テキスト」
  • 建築法規編 p198 p229~p232
関連過去問題
  • 平成12年度午後の部 問題No.8
  • 平成11年度午後の部 問題No.9
  • 平成11年度午後の部 問題No.33
  • 平成9年度午後の部 問題No.8
  • 平成8年度午後の部 問題No.8
  • 平成7年度午後の部 問題No.35